バイオマス循環利用研究部会(BRUF)特別講演会

日時: 2012年2月17日 15:00~16:30
場所: 九州大学箱崎理系地区 21世紀交流プラザII 第2講義室(箱崎キャンパス)

研究の目的

バイオマス循環利用研究部会代表
九州大学大学院 農学研究院
酒井 謙二

研究紹介図pdf

バイオリファイナリーとは、バイオマス資源の多段的な変換による化成品、エネルギー、燃料の生産を骨格とする生産システムのことで、オイルリファイナリーに近似して、石油の替わりに植物体などを製品化するところからこの造語がある。生物材料の変換技術や生物活性の工業利用 = ホワイトバイオテクノロジーと、環境負荷の低減を目指したグリーンケミストリーが融合することで、経済的にも資源的にも持続可能で環境負荷の最小化を目指した化学製品の生産を目指すものである。

さらに、これにバイオマス原料の栽培や社会利用の方法等を加え、バイオマス利用を中心に置く生産・消費システムをバイオエコノミーと表現することがある。この概念は我が国ではバイオマスニッポンと個別表現であるバイオマスタウンとして研究および施策推進がなされてきた。即ち、バイオマスリファイナリーとはバイオエコノミーを具現化する生物工学技術と各プロセスのシステム化を目指すものと言える(下記(iii))。

しかしながら、バイオマス原料の生産や利用そのこと自体は必ずしも持続型生産性を意味しておらず、その加工工程においても環境破壊や汚染を引き起こす。また、バイオマス資源利用であっても未利用部、廃棄物が排出され、それらの処理や循環型利用法が必要となる。

さらに、生産活動のみならず、消費、廃棄、リサイクルの全体システムを最適化する必要がある。これらを考えた時、持続的生産・消費社会におけるバイオマス資源利用についての研究・開発課題は以下の4つに整理できよう。

(i) 持続型生産・消費システムの設計
(ii) バイオマス植物・藻類の生産法
(iii) 燃料・マテリアルへのバイオマス変換プロセスの開発 (狭義のバイオリファイナリー)
(iv) 未利用・廃棄物バイオマスのリサイクル法

これまで、日本生物工学会バイオマスリファイナリー研究部会では、バイオマスニッポンやバイオマスタウンなどの施策に謳われたように、バイオマス利用に関わる最新の技術と知識を共有し、地域の特性を見極め、個々の地域にマッチした資源循環型プロセスを構築するための議論と啓発事業を行ってきた。また、廃棄物資源循環学会バイオマス系廃棄物研究部会との共同開催による学会シンポジウム、講演会だけでなく地域での広報・啓発事業を展開し、資源の重要性や環境保全の大切さを周知する活動を行ってきた。これら主催シンポジウムの参加者は多数に上り、本テーマに関心を持つ学会員、非学会員は多いと思われた。

一方でこの活動を通じて、研究部会員の構成や規模はあまり広がらなかった。その理由として幾つかのことが考えられる。

  1. 長期にわたる活動によって研究部会名と活動内容に齟齬が広がり、部会が目指す学術的目標が曖昧になってきた。
  2. 上記を構成する要素技術のあるものは表現が異なるものの、他の研究部会と重複しているため、参加希望者が分散した。
  3. 研究部会活動の中期的アウトカムが部会員で共有できなかった。

 

そこで、2011度は、従来踏襲してきた未利用資源活用と資源循環を念頭に置いた生物工学的技術の研究開発をめざして部会名を刷新し、同時に活動に興味を持つ研究部会参加希望者を新たに募る。研究部会のターゲットは主に下記の3つに整理される。

1) 未利用農産・森林バイオマス資源の活用のためのプロセス研究
キーワード:非食用部農産バイオマス、基幹化成品生産、バイオリファイナリー、ホワイトバイオテクノロジー

2) 廃棄物系バイオマスのエネルギー・マテリアルへの変換・利用法に関するプロセス研究
キーワード:余剰汚泥、家庭・生ゴミ、し尿、畜産廃棄物、コンポスト、メタン発酵、水素発酵、バイオガス、廃油BDF

3) バイオマス資源の循環利用と持続型生産体系構築のためのシステム設計や評価
キーワード:循環型社会、持続型生産、ゼロエミッション、低炭素、カーボンニュートラル、バイオエコノミー
 

大量生産、大量消費、大量廃棄の結果、生物系廃棄物が年間2億8千トンも排出されています。これらの廃棄物は主として中間処理され最終処分地に埋め立てられており、地球温暖化や最終処分地の不足が大きな問題となっています。日本生物工学会バイオマスファイナリー研究部会は地域に根ざした資源循環型社会の構築に貢献することを目的として設立されました。

本年度は上記にこだわらず、活動に興味を持つ研究部会参加希望者を新たに募るために、第63回日本生物工学会大会(2011)において公開の研究部会を開催し、ありかたについて議論を行う予定です。その後、ネット上でのフォーラムを通して議論を深め、目指すべき方向性と組織を整理します。これらを基に、次年度以降、研究開発の現状における動向と課題を把握し、その解決に向けて農水省、環境省、あるいは文部科学省などへの研究開発を提案するとともに、一定程度の活動期間を経て技術と概念の体系化を図っていきます。

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バイオマス循環利用研究部会 研究紹介図

構成員

委員 酒井 謙二(九大院・農)
木田 建次(熊本大工 ・物質生命化学)
園元 謙二(九大院・農)
神谷 典穂(九大院・工)
白井 義人(九州工業大院・生命体工)
高見澤 一裕(岐阜大・応用生物科学)
五十嵐 泰夫(東大院・農学生命科学)
中崎 清彦(東京工業大院・理工)
小原 仁実(京都工芸繊維大院 ・工)
田代 幸寬(西南女学院大・短期大学部 )

過去の活動

 

お問い合わせ先

九州大学大学院農学研究科
酒井 謙二
E-mail:

 

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