第124回を迎える醗酵学懇話会を下記の通り開催いたします。今回は、2010年に開催された第98回以来の奈良市での開催となります。近隣の発酵関連の企業様のご協力のもと見学会を企画しております。時間の都合上、見学会の後にセミナーを実施するプログラムとなります。伝統的な発酵にまつわる話題から最先端のトピックまで各界の著名な先生方からご講演いただく予定です。懇親会も開催しますので、皆様のご参加を是非お待ちしております。

  • 日時:2025年8月25日(月)12:45~19:30(予定)
    《見学会》12:45~15:00(移動時間を含む)
    《講演会》15:15~17:45
    《懇親会》18:00~19:30
     
  • 場所:
    《会場》奈良公園バスターミナル(〒630-8213 奈良県奈良市登大路町76)
     講演会:奈良公園バスターミナル内レクチャーホール
     懇親会:奈良公園バスターミナル内情報広場

    《見学会》近隣の発酵関連の会社(徒歩10~15分)
    3グループに分かれて徒歩で各見学先へ移動:各人1社のみ
    (今西清兵衛商店:日本酒、Golden Rabbit Beer:クラフトビール、奈良屋本店:奈良漬)
     
  • プログラム:
    12:15~ 受付
    12:45~15:00 企業見学

    15:15~15:20 開式の辞………蓮沼 誠久(関西支部支部長 / 神戸大学先端バイオ工学研究センター)

    15:20~15:35
    「奈良オリジナル酵母の単離・育種とクラフトビール醸造への応用」
     ………高木 博史(奈良先端科学技術大学院大学 研究推進機構)

    国内には700ヶ所を超えるビールの醸造所があり、多種多様なクラフトビールが販売されている。ビールの主要な芳香成分(アルコールやエステル類など)は酵母のアミノ酸代謝によって生成されるものが多いため、ビールの品質向上や酒質の差別化には、アミノ酸の組成や生成量に特徴のある酵母が重要である。また、地域独自の天然酵母の活用もビールのブランド化に貢献できる。今回は、機能性アミノ酸(プロリン・フェニルアラニン)を高生産する酵母を育種し、奈良オリジナルのクラフトビールを開発した例を紹介する。また、本学キャンパス内で単離した酵母を用いた健康系(GABA・オルニチン高含有)クラフトビールの開発についても紹介する。

    15:35~15:50
    「ナラノヤエザクラ酵母の分離と「奈良の八重桜」清酒の商品化」
     ………大橋 正孝(奈良県産業振興総合センター メディカル技術支援科)

    奈良女子大学創立100周年(2009年)に向けて、天然記念物及び県花であるナラノヤエザクラから有用酵母を分離し、その酵母を用いた発酵食品(酒類)の開発を目的とした「奈良八重桜PJ(プロジェクト)」が2006年5月に奈良女子大学で発足した。当センターもそのPJに参加し、2008年度に酵母の分離を検討した結果、清酒醸造に使えるSaccharomyces cerevisiae 1株(ナラノヤエザクラ酵母)を分離することに成功した。その後、清酒試験醸造を経て、2009年5月に、その酵母を用いて造られた清酒「奈良の八重桜」が株式会社今西清兵衛商店より商品化された。以上の経緯を簡単にご紹介する。

    15:50~16:05
    「奈良漬は発酵食品か?」
     ………渡辺 大輔(奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科)

    奈良漬は、日本酒の醸造により生じる酒粕を活用して作られる、日本最古級のサステナブルフードとされる。複数の奈良漬メーカーから、伝統製法のアレンジや機能性の訴求に関する相談を受けその製造法を学んだが、奈良漬が微生物の作用による発酵食品かどうかすら十分に解明されていなかった。研究資金確保の手段としてクラウドファンディングを活用し、広く関心を集める形でプロジェクトを始動した。現在は、各社の奈良漬に共通して、好エタノール性という特異な性質をもつ乳酸菌の存在を見出した段階にある。奈良漬の発酵の原理を解明することは、食の伝統を次世代につなぐ上でも重要な一歩になると確信している。

    16:05~16:20 休憩

    16:20~17:00
    「BIOcatalyst:無機/有機材料と生体触媒との複合系による光駆動水素生産」」
     ………本田 裕樹(奈良女子大学 研究院自然科学系領域)

    酵素や微生物といった生体触媒は、温和な条件下で高効率に化学反応を進行させる優れた触媒である。一方、物質生産への応用にはいくつかの制約が存在する。その一例として、酸化還元酵素の反応では、補酵素や電子伝達タンパク質が必要とされる点が挙げられる。とくに、基質の還元反応で、高価な還元型補酵素(NADPHなど)を安価かつ継続的に供給することは酵素応用における課題となりうる。これに対して演者は、無機半導体光触媒や有機色素などの非生体材料による光―化学エネルギー変換からの還元力の供給で、酸化還元酵素の能力を引き出す「バイオ複合系」を提案してきた。本講演では、とくにバイオ複合系による光駆動水素生産への取り組みを紹介し、今後の応用展開や将来的な可能性について議論したい。

    17:00~17:40
    「カネカ生分解性バイオポリマー Green Planet® の開発」   
     ………有川 尚志(株式会社カネカ CO2 Innovation Laboratory カーボンリサイクルチーム)

    Polyhydroxyalkanoate(PHA)は炭素源が豊富な条件で微生物がエネルギー貯蔵物質として蓄える脂肪族ポリエステルである。熱可塑性を持つため既存のプラスチックのように溶融成形でき、天然型構造であることから土壌中だけでなく海水中でも生分解性を示す。自然界で最も一般的なPHAはPoly[(R)-3-hydroxybutyrate](PHB)であるが、代謝状態やPHA重合酵素の違いで様々なモノマー構成を取り得る。なかでも最も社会実装が進んでいるPHAのひとつが、当社がGreen Planet®のブランド名で開発したPoly[(R)-3-hydroxybutyrate-co(R)-3-hydroxyhexanoate] (PHBH)である。PHBHはモノマー共重合比率によって物性が大きく変化し、そのコントロールは生産微生物の代謝を遺伝子レベルで制御することにより達成される。本講演では,狙い通りの共重合比率でPHBHを高生産する微生物を創出するための戦略、実環境での生分解性などを中心に紹介したい。

    17:40~17:45 閉会の辞………岡澤 敦司(関西支部副支部長 / 大阪公立大学農学研究科)

    18:00~19:30 懇親会
     
  • 定員: 講演会100名、見学会60名、懇親会70名
     
  • 参加費:一般 1,000円(税込) 学生:無料(当日会場受付にてお支払いください。)
     
  • 懇親会会費:一般 3,000円(税込) 学生:1,000円(税込)(当日会場受付にてお支払いください。)
     
  • 申込み方法:以下のWebフォームよりお申し込み下さい。
    https://forms.gle/mqt1NLWozD8xsoL36
     
  • 申込締切日:2025年8月18日(月)正午(定員に達し次第、締め切らせていただきます。)
     
  • 問合せ先:
    日本生物工学会 関西支部 大橋 貴生
    E-mail:

会場へのアクセス

《講演会・懇親会会場(奈良公園バスターミナル)》
近鉄奈良線「奈良駅」1番出口より東へ徒歩約10分(奈良県庁舎の東隣)
JR奈良線「奈良駅」東出口バスターミナルから 奈良交通2系統市内循環バス(外まわり)に乗車で約10分、「県庁前」バス停下車 東へ徒歩約3分
⇒アクセス https://npbt.jp/#access

 

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