九州支部2018年度市民フォーラム実行委員長
小田 達也

2018年7月28日、本会九州支部主催の2018年度市民フォーラム「豊かな海の恵みと水産業を支えるバイオテクノロジー」(長崎大学水産学部共催)が、長崎大学水産学部大講義室(長崎県長崎市文教町)にて開催されました。当日は、講演の部に92名、実験の部に37名、計129名の方にご参加いただきました。講師の先生方、参加者の皆様、ならびに関係者各位に厚く御礼申し上げます。

井上徹志先生

井上 徹志先生


講演会では、筆者(実行委員長 長崎大学水産・環境科学総合研究科)と光富勝九州支部長による挨拶の後、井上徹志先生(長崎大学水産・環境科学総合研究科)より、「長崎の伝統水産食品からすみと微生物」と題した演題で、伝統水産食品の「すし(鮓、鮨)」や「からすみ」等の発酵との関わりについて紹介いただきました。



 

大嶋雄治先生 

大嶋 雄治先生


大嶋雄治先生(九州大学大学院農学研究院水産生物環境学分野)からは、「遺伝子編集技術を用いた魚毒結合タンパク質の機能解明」と題した演題で、先端的バイオテクノロジーとして注目されている遺伝子編集技術が魚に対する毒物(トリブチルスズ)の毒性緩和と排出に関わるタンパク質の機能解析に貢献した例を説明いただきました。


 

征矢野 清先生

征矢野 清先生


征矢野清先生(長崎大学海洋未来イノベーション機構)からは、「人の手による魚の産卵と雌雄のコントロール」と題した演題で、魚の性のコントロール手法や成熟・産卵誘導の技術開発、これを用いた養殖への応用についてお話いただきました。




 

山口 敦子先生

山口 敦子先生


山口敦子先生(長崎大学水産・環境科学総合研究科)からは、「魚類生態系機能の解明に基づく海域の再生」と題した演題で、有明海のサメ・エイ類等の高次捕食者の徹底調査と多様な種の補食-被食関係から明らかにされた有明海独自の複雑な食物網について、また、魚類生態系機能を活用した有明海の海域再生についてお話いただきました。


 

小田 達也先生

筆者(小田達也)


筆者は、「海藻に含まれる機能性成分;多糖類を中心に」と題した演題で、海藻多糖体(褐藻類由来のアルギン酸・フコイダンや紅藻スサビノリ由来のポルフィラン)の有用な機能性(免疫賦活作用、抗酸化作用、抗腫瘍効果、抗炎症効果、骨粗鬆症抑制作用など)についてお話いたしました。



 

午後からは、水産学部新館4階第5実験室に会場を移し、主に高校生を対象とした実験の部が実施されました。村田昌一先生(長崎大学水産・環境科学総合研究科)と研究室メンバーは、「バイオテクノロジーによる魚の鮮度測定」というテーマで、独自に開発された鮮魚用脂質含量測定装置(フィッシュアナライザ)とヒスタミン測定装置(コーミル)で魚の品質や安全性を測定し、数値化することを紹介されました。

山口健一先生(長崎大学水産・環境科学総合研究科)と研究室メンバーは、「海藻多糖成分を利用した人工イクラ作成と海苔のうまみ成分の分析」というテーマで、褐藻類のアルギン酸のゲル化反応を利用した人工イクラ作成と海苔のうまみ成分イノシン酸の生成に関わる酵素(アデニル酸デアミナーゼ)の活性測定について紹介されました。

井上徹志先生・山田明徳先生(長崎大学水産・環境科学総合研究科)と研究室メンバーは、「海の微細藻類と生き物の腸内に共生する微生物の顕微鏡観察」というテーマで、赤潮の原因微細藻や種々の生物の腸内共生微生物の顕微鏡観察を体験する内容に加え、シロアリと腸内微生物の関係やボールペンのインクを辿る不思議なシロアリの習性についても紹介されました。

実験会場はリラックスした雰囲気の中、しばしば歓声が上がり、熱心な科学談話や質疑応答があって終始活気に溢れていました。海洋生物に関したバイオテクノロジーの話と体験実験に触れた参加者の皆様からは、「新しい知識が得られてよかった。」、「お話が面白かった。」、「実験が楽しかった。」などの感想をいただき、たいへん嬉しく思っております。

講演の部の様子

講演の部の様子

実験の部の様子

実験の部の様子

 

 

 

 

 

 

 

 

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