Published by 若手会 on 20 8月 2018

第4回電子討論会「研究における事故」 – ガラス管の挿入は3本指で持って

学生に事故報告の重要性を理解させ、学生実験中の事故事例を収集分析したところ、事故の65% は切傷であり、その47% はゴム栓にガラス管を挿入する際に起こっていた。

ガラス管の破損はゴム栓の根本だけでなく、根本から5~6cmのところで起こっていた。前者の原因は、挿入時にゴム栓の根本から2cm の所を持っても、小指はゴム栓から約10cm 離れているため、人差し指と親指の5倍の曲げモーメントが発生することが、後者の原因は、挿入時にゴム栓の摩擦に打ち勝つためにガラス管を握りしめると、手のひら (小指の付け根) と親指で支えられたガラス管を中指と薬指で押さえつけることになるのが原因であると分析し、実験でこれらを実証した。この結果をふまえて、ガラス管挿入時には、親指、人差し指、中指の3指で、根本から2cm 以内を持つように指導したところ、事故は激減した。

圓尾勝彦,化学系有機化学実験における事故の分析と安全指導,第2回「学術研究機関における安全」シンポジウム要旨集,pp42-46 (1997)より著者の了解を得て要約。
化学実験の安全指針, 日本化学会編, 丸善 (1999),pp138-141 もご参照下さい。

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Published by 若手会 on 30 7月 2008

第4回電子討論会「研究における事故」

人間は他の動物と同様に、基本的には痛い目にあわないと学習しない動物です。しかし、動物とは異なり、人が痛い目に会ったのを見聞きしても学習することができます。皆さんは安全に実験を行うために色々な工夫をされていることと思いますが、研究をより安全に行い、安全な研究を指導するためには、事故の事例をより多く知ることも大切だと思います。

日本生物工学会の「生物工学若手研究者の集い」(通称:若手会)が主催するバイオテクノロジーフォーラム(BTF)では、研究における事故、あるいは事故に至らないまでもヒヤッとしたりハッとした事例について電子討論会を行いました。以下はフォーラムに寄せられた内容を、分類して編集(ほぼ原文のまま)したものです。

内容は、BTF 会員の自由な討論に基づくものであり、不適切なもの、不確実なものが含まれることをご了解の上でご覧下さい。

ご意見、ご批判がございましたら世話人の片倉()までお寄せ下さい。また、他の事故事例をこのHPに紹介して頂ける方も片倉宛メールをお願いします。


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