Published by 若手会 on 20 8月 2018

第4回電子討論会「研究における事故」 – 溶媒

  • 溶媒(ジエチルエーテル)の入った三角フラスコの栓が取れなくなったので、湯せんでガラスを暖めて取ろうとしたところ、栓が飛び、肩から顔にかかった溶媒に引火し大やけどを負った。
     
  • 水溶性の溶媒を流しに流したところ、流れて行った先の排水溝で何かの火が引火し、排水溝のフタが何枚か吹っ飛んだそうです(某社工場長談)。溶媒は回収して適正に処理しましょう。
     
  • ある先輩がエバポレーターで溶媒を循環式アスピレーターで引いて飛ばしていた時、冷却水を流していた水道の栓を誰かが止めてしまったそうです。そのため、溶媒が回収されずにアスピレーター経由で漏れ、湯沸かし器の種火で引火して天井を火が走ったそうです。以来、その先輩は冷却水の蛇口に必ず「触るな」と表示し、こまめに水が流れているか確認しているそうです。
     
  • ある学生さんが核酸抽出用フェノールを溶かそうとして、湯せんにかけたまま忘れてしまいました。空焚きになる寸前、たまたま通りかかった別の学生が気付いて事なきを得ました。以来その学生さんはウォーターバスを使って溶かしているそうです。
     
  • 微生物を培地に塗布するために白金耳をガスバーナーで滅菌しようとしていたのですが、熱した白金耳を誤ってエタノールの入ったビーカーにつけてしまいました。エタノールは引火し、ビーカーは上部のほうが砕け散りながらも、ビーカーの下の方はそのまま形が残り、燃え続けていました。万が一のことを考え急いで消化器を持ってきてから、大きいバケツに水をいっぱいに入れたものを用意しました。大きい鉄製のはさみで引火したエタノールの入ったビーカーをつかみ、水の入ったバケツに静かに入れました。これで無事消化できました。ビーカーが全部砕け散っていたら火の海になるところでした。ここから得られた教訓は、熱した白金耳などをエタノールに絶対につけないこと。
     
  • もし引火しても割れない容器を用い、フタをして消すようにする考え方もあります。
     
  • 恥ずかしい事故(?)ので、名乗れません。クリーンベンチとエタノールの事故で思い出しました。年末の大掃除で、汚れたクリーンベンチ内部を消毒用エタノールで拭き掃除をやっていました。上半身は丸ごとクリーンベンチの中に入れ、エタノールをふんだんに使っていたら… 30分後には完全に酔っぱらっていました。ちゃかしてすみません。失礼しました…
     
  • それより引火しなくてよかったですね。クリーンベンチの中をエタノールでスプレーするのも危険だと思います。エタノールと火は、有機化学系の実験室ではミスマッチですが、微生物系では必需品ですから問題ですね。さっそくステンレス製の容器を買うことにしました。熱でガラスが割れるのは予想してませんでしたので。
     
  • うちではフタ付きのプラスチック容器を使っています。Sigmaなどの試薬瓶が入ってくる容器です。フタをした時の密閉性が良いので、エタノールを入れたまま保管できて便利です。一度火が入ったことがありますが、フタをしてすぐ消火できました(容器の口が少し溶けたので交換しました)。ただし、重心が高くて転倒しやすいので、ガラスシャーレに接着剤で固定して使っています。また、クリーンベンチ内ではバーナーとは出来るだけ離れた位置に置くように指導しています。
    ⇒その後の btf での議論
     
  • 溶媒の瓶を取り落として割れ、ストーブの火で引火して研究室が全焼。貴重な実験材料やデータも全て失われ、何人か卒業が遅れたそうです。溶媒使用時はもちろん、溶媒瓶を「持つ」時も火気厳禁です。

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Published by 若手会 on 30 7月 2008

第4回電子討論会「研究における事故」

人間は他の動物と同様に、基本的には痛い目にあわないと学習しない動物です。しかし、動物とは異なり、人が痛い目に会ったのを見聞きしても学習することができます。皆さんは安全に実験を行うために色々な工夫をされていることと思いますが、研究をより安全に行い、安全な研究を指導するためには、事故の事例をより多く知ることも大切だと思います。

日本生物工学会の「生物工学若手研究者の集い」(通称:若手会)が主催するバイオテクノロジーフォーラム(BTF)では、研究における事故、あるいは事故に至らないまでもヒヤッとしたりハッとした事例について電子討論会を行いました。以下はフォーラムに寄せられた内容を、分類して編集(ほぼ原文のまま)したものです。

内容は、BTF 会員の自由な討論に基づくものであり、不適切なもの、不確実なものが含まれることをご了解の上でご覧下さい。

ご意見、ご批判がございましたら世話人の片倉()までお寄せ下さい。また、他の事故事例をこのHPに紹介して頂ける方も片倉宛メールをお願いします。


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