Published by 学会事務局 on 27 12月 2012

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館
  ―シリカを身にまとう微生物(Q62, P.130参照)―

 『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館   シリカを身にまとう微生物

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この写真は、シリカという鉱物を蓄積させる微生物の顕微鏡写真です。自然界で見られる「シリカの鉱物化現象」を詳しく調べるために、地熱発電所の熱水配管(水温80~90℃)に銅板のテストピース(5cm×10cm)を沈め、シリカスケールがどのように形成されるか観察が行われました。その結果、短期間で多量のシリカスケールが銅板の上に形成されました(書籍P.130の写真参照)。そして、このシリカスケール中には多数の細菌が観察されたのです(左:光学顕微鏡写真、右:電子顕微鏡写真)。

左の写真では、シリカ沈殿物に付着した桿菌(棒状の細菌)がはっきり認められます。また、右の写真では、桿菌に加えて、小さい球形の球菌も認められます。中央の大きな球体はシリカがポリマーになったもので、シリカボールと呼ばれています。

 

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Published by 学会事務局 on 28 11月 2012

【本部】『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館オープン

日本生物工学会創立90周年記念出版『ひらく、ひらく「バイオの世界」』(2012年10月発行)に掲載された図を紹介する「イラスト・写真館」をオープンしました。この「イラスト・写真館」では、『ひらく、ひらく「バイオの世界」』に掲載された主なイラスト・写真について詳しい解説を見て頂くことができます。バイオテクノロジーの世界を、より深くお楽しみください。

『ひらく、ひらく「バイオの世界」イラスト・写真館』はこちら

 

♦ 関連記事:
《日本生物工学会創立90周年記念出版》ひらく、ひらく「バイオの世界」―14歳からの生物工学入門
https://www.sbj.or.jp/pub/pub_hiraku.html

Published by 学会事務局 on 28 11月 2012

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館
  ―糖の鎖は細胞の顔つき(Q65)―

私たちを作っている細胞一つ一つにも個性があり、その「顔つき」が異なっています。ブドウ糖などの糖は細胞のエネルギー源となる大切な物質ですが、糖にはその他にも役割があるのです。細胞の表面をよく見ると、表面が鎖状につながった糖(糖鎖)でおおわれています。この糖鎖は、複雑な形をしているうえに大変バラエティに富み、細胞ごとに糖鎖の様子がまったく異なります。糖鎖はいわば細胞の顔つきなのです。

例えば、私たちの血液型(O,A,B,AB型)というのは、赤血球の表面に生えている糖鎖の違いによって決まっています。

ひらく、ひらく「バイオの世界」 イラスト・写真館 「糖の鎖は細胞の顔つき」

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また、糖鎖は細胞の表面 をおおっているので、細胞どうしの結合、つまり細菌やウイルスとの接着などに密接に関わっています。例えば、生物種による細胞表面の糖鎖の違いが、インフ ルエンザウイルスへの感染のしやすさを決めていることが知られています。おそらく個人差もあるでしょう。最近は、糖鎖の性質を逆手に利用した未来型の医薬 品も開発されています。

 

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Published by 学会事務局 on 28 11月 2012

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館
  ―微生物を利用してリサイクル(Q56)―

リン鉱石は化学肥料の原料になるため、食料生産になくてはならない資源ですが、枯渇することが心配されています。そこで、廃棄物中や廃水中からリンを回収しリサイクルする技術が注目されています。

生活排水に多く含まれているリンを、微生物の力を利用して集め、リン資源としてリサイクルすることができるのです。ある種の微生物には、リン酸がたくさん連なった「ポリリン酸」を蓄積する能力があります。

ひらく、ひらく「バイオの世界」 イラスト・写真館 

 

左の写真は、ポリリン酸がどのように微生物の体内で蓄積するかを解明し、その情報をもとに人工的につくりだした「ポリリン酸蓄積変異微生物」の写真です。

矢印で示した部分にリンが蓄積されており、その量は菌の体重の約30%に及ぶことがわかりました。この微生物のリン含量はリン鉱石とほぼ同等であることから、「生きたリン鉱石(バイオリン鉱石)」とも呼ばれています。

 

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Published by 学会事務局 on 28 11月 2012

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館
  ―ニワトリがつくる薬(Q52)―

卵を生産するために飼われているニワトリは、ほぼ毎日卵を産みます。そしてニワトリの卵にはタンパク質(卵白タンパク質)が豊富に含まれています。この卵白タンパク質の代わりに、卵にタンパク性の医薬品を含ませることができれば、非常に安く医薬品をつくれると期待されています。ひらく、ひらく「バイオの世界」 写真館 「ニワトリがつくる薬」

 

メンドリの輸卵管の細胞は、タンパク質を豊富に含む卵白を分泌しているので、治療用抗体などのタンパク性医薬品の遺伝子を輸卵管の細胞で働かせることができれば、抗体タンパク質を卵白中に含ませられるようになると考えられます。

 

写真には、その手順を示します。まずメンドリから産み落とされた有精卵の殻を割って、卵黄の膜の上で成長する胚(ヒナのもととなる)の細胞に、医薬品タンパク質の遺伝子を含んだ溶液を微細なガラス管を使って注入し、遺伝子導入を行います。

 

その後、卵を孵化させることによって、医薬品タンパク質の遺伝子をもったニワトリを誕生させます。このニワトリが成長すれば、医薬品タンパク質を含む卵を産むようになるのです。

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Published by 学会事務局 on 28 11月 2012

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館
  ―抗体を薬として利用(Q51)―

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館  「抗体を薬として利用」抗体は、体内に入ってくる病原体を退治するために体がつくりだすタンパク質です。この抗体を、薬として利用できないか、自在につくることができないか、研究が進んでいます。左の図は、マウスの細胞に抗体をつくらせる方法を表しています。

動物(マウスやウサギなど)に標的タンパク質を注射すると、動物体内の免疫システムがはたらき、標的タンパク質に対する抗体がつくられます。この動物の血液から抗体を直接得ることもできます。しかし、動物の免疫反応に個体差があること(みなさんも病気への抵抗力には個人差がありますね)、動物に寿命があること、一度に採取できる血液の量に限りがあることから、この方法で抗体を大量かつ安定に得ることは困難です。そして何よりも、血液中には目的の抗体以外の抗体も含まれているため、そのまま利用することはできません。

そこで動物から、標的タンパク質の抗体をつくっているBリンパ球細胞を取りだし、この細胞を骨髄腫細胞という特別なガン細胞と融合させることによって「ハイブリドーマ細胞」という雑種細胞をつくります。Bリンパ球細胞は短命(4日間ほど)ですが、ハイブリドーマは不死です。それに1種類の抗体だけを作り続けますから、この細胞を培養することで、目的の抗体を大量かつ半永久的に得ることができます。ちなみに、動物の抗体をそのままヒトには投与できません(生物種が違うと拒絶反応が起きやすい)ので、遺伝子工学を用いて、動物由来の抗体をヒトの抗体と同じ構造に改変して利用する方法が開発されています。
 

 

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Published by 学会事務局 on 28 11月 2012

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館
  ―助け合って生きる微生物たち(Q61)―

 『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館   助け合って生きる微生物たち

蛍光顕微鏡により観察したこの写真は、「メタン生成細菌」の集まり(緑色)のまわりに、「酸生成細菌」(赤色)が寄り添って暮らしている様子を示しています。これらの微生物たちは、群れをつくり共生することによって、有機物からメタンを生成して生きています。

微生物の群れを観察する手法は、「FISH(fluorescence in situ hybridization)法」と呼ばれます。FISH法では、細胞や微生物のゲノムDNAと結合するDNA(プローブ)を用意し、それに蛍光物質を付け、プローブと結合した細胞や微生物を蛍光顕微鏡で観察します。

二種以上の微生物を同時に観察する場合、二重に結合させます。今回は、酸生成細菌のDNAと結合する蛍光プローブ(赤色)と、メタン生成細菌のDNAと結合する蛍光プローブ(緑色)を使用したという訳です。この写真には、メタン生成細菌が2種類いて、糸状のMethanosaeta属と、団子状のMethanosarcina属が観察されます。

 

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Published by 学会事務局 on 28 11月 2012

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館
  ―石油を食べる微生物(Q44)―

この写真は、石油を食べる微生物の働きを示したものです。
微生物を増やすには、微生物の好きな食べ物と環境(温度など)を用意すればよいので、石油を食べる微生物を増やしたいときには、石油を栄養分として与えます。
ひらく、ひらく「バイオの世界」 写真館 バイオレメディエーション

フラスコに石油を入れると、水の上に黒い石油が浮いてきます(写真A)。これは石油を食べる微生物を投入する前の様子で、石油が海に漏れだした時の状況に似ています。

このフラスコに石油を食べる微生物を入れ、空気を混ぜながら培養する(育てる)と、微生物は石油をパクパク食べてどんどん増殖し、フラスコ内の水が白く濁ってきます。そして、黒い石油は減少していきます。写真Bは、微生物を3日間培養した状態です。

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石油タンカーが座礁したりして石油が海に漏れだし、海や海岸などの環境が汚染されてしまうことがあります。この環境中に石油を食べる微生物を入れてやれ ば、フラスコの実験と同じように微生物がどんどん石油を食べ、環境をきれいにしてくれます。このような仕組みをバイオレメディエーションと呼び、環境汚染 を解決する新しい方法として実用化されつつあります。

 

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Published by 学会事務局 on 28 11月 2012

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館
  ―植物と微生物のいい関係(Q45)―

植物は、自身がつくりだした糖やアミノ酸、ビタミン類などの栄養素や酸素をまわりに分泌します。そのため、とくに植物の根の近く(根圏といいます)には、それらを求めて多くの微生物が集まります。このような根圏の微生物の中には、植物が必要とする栄養(窒素やリン)を植物が利用しやすい形に変換したり、植物に悪影響を及ぼす病原菌や化学物質などを取り除いたりと、植物との「共生関係」を築いているものがいます。ひらく、ひらく「バイオの世界」 イラスト・写真館  No. 12 植物と微生物のいい関係

 

写真のスフィンゴビウム属細菌も根圏にいる微生物です。この細菌は、4-tert-ブチルフェノール、ノニルフェノール、ビスフェノールAなどの内分泌撹 乱化学物質(環境ホルモンとも呼ばれ、生き物の体の仕組みを混乱させる作用を持つ物質)を分解し、無害化します。この細菌は、植物から栄養素や酸素を受け取る代わりに、有害物質を分解して植物の生育を助けているのではないかと考えられています。

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環境ホルモンを含めて有害な化学物質のなかには、微量 でも有害で、分解することが難しく、環境中に長く留まりやすいものが多くあります。このような化学物質を分解できる微生物がいると、とても頼もしいですね。実は、植物と共生する微生物は植物だけでなく、私たちが住む地球の環境も守ってくれているのです。

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Published by 学会事務局 on 28 11月 2012

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館
  ―青いバラのつくり方(Q26)―

植物がどんな色の花を咲かせるかは、その植物が生まれつき持つ酵素の種類によって決まります。バラ、カーネーション、キク、ユリなどは、多くの青い花に含まれる「デルフィニジン」という色素を合成するために必要な「青色化酵素」を持っていないため、青い花を咲かせることができません。

酵素はタンパク質ですので、生体内では遺伝子の情報をもとにつくられます(転写・翻訳)。遺伝子の情報が書き込まれているDNAは生物すべてに共通ので、ある生物から取り出して別の生物に入れることができます。まず、青色化酵素の遺伝子(DNA)をパンジーなどの青い花から取り出しました。次に、このDNAをバラやカーネーションの細胞に入れ、遺伝子の入った細胞だけを選びだします。そして、その細胞から植物体を再生することにより、花の色が青いバラやカーネーションを作ることができました。

ひらく、ひらく「バイオの世界」 イラスト・写真館

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Published by 学会事務局 on 28 11月 2012

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館
  ―コンピュータ技術をバイオに活用(Q40)―

コンピュータ技術などの情報科学と生物学が融合した新しい学問分野を「バイオインフォマティクス」といいます。バイオインフォマティクスは、どのような発展を私たちにもたらすのでしょうか。

ひらく、ひらく「バイオの世界」 イラスト・写真館

 

私たちが持っている遺伝子(DNA)の1個の塩基が置換してしまったために重要なタンパク質の機能が損なわれたり弱くなったりして、重い病気を引き起こす 原因になることがあります。

もしあらかじめこのような遺伝子の置換が分かれば、その病気に対するリスクを知ることができ、予防、治療、薬の開発のために役 立つと期待されています。

また、微生物を使って植物などから化学物質や燃料をつくる試みに期待が寄せられています。微生物が持っている遺伝子を調べれば、 その微生物がどのような反応を行えるのかが分かり、研究が進展するでしょう。

目的の化学物質や燃料を効率よく得るために反応がどのように起こるかをコン ピュータで計算する(シミュレーション)できるようにもなるのではないかと期待されています。

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Published by 学会事務局 on 28 11月 2012

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館
  ―抗体の多様性を生みだすしくみ(Q12)―

私たちの体はいつも無数の病原体からの攻撃にさらされていて、その病原体も突然変異(遺伝子が変化すること)により日々その性質を変化させていきます。そのような病原体に対抗するため、私たちの体には、数億種類ともいわれる「抗体(病原体に結合して、その働きを弱めるタンパク質)」が常に準備されています。

抗体はタンパク質ですので、遺伝物質であるDNAから転写・翻訳されてつくられます。しかし、私たちの細胞にあるゲノムDNAには、数億種類もの抗体の遺伝情報を書いておくだけのスペースがありません。そこで生物は、抗体遺伝子を二つ(VとJ)あるいは三つ(VとDとJ)のパーツに分解し、V、D、Jをそ れぞれ4~40個ずつ用意しておき、抗体遺伝子を完成させるときにV、D、Jのパーツを1種類ずつ選んで結合させる、というしくみを持っています。こうす ることによって、パーツの種類は少なくても、それらを組み合わせてできた抗体には非常に多くの種類を生みだすことができます。

しかしゲノムの中の遺伝情報をこのように組み換えることは、ひとつ間違えると「がん」の原因にもなり非常に危険です。そこで、このような組換えを起こすための酵素の働きは、生殖細胞のほかはBリンパ球やTリンパ球に限られています。
 

ひらく、ひらく「バイオの世界」 写真館 「抗体の多様性を生みだすしくみ」


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Published by 学会事務局 on 28 11月 2012

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館
  ―免疫細胞を活性化する乳酸菌(Q18)―

病原体が体のなかに侵入するのを防ぐために、私たちには「免疫機能」が備わっています。しかしストレスや環境の悪化によって、一時的に免疫力が低下してしまうことがあります。

ひらく、ひらく「バイオの世界」 写真館 S-PT84株の細胞壁

最近、ヨーグルトなどに含まれる「乳酸菌」に、ヒトの免疫細胞を活性化して免疫力を高める能力があることがわかってきました。

そして研究を進めるなかで、免疫細胞を活性化する力がとくに強い乳酸菌「S-PT84株」が発見され、その「細胞壁(さいぼうへき)(細胞を包む殻)」が免疫細胞の活性化に効いていることがわかったのです。

 

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さ らに調べると、30℃で育てた乳酸菌よりも、37℃で育てたS-PT84株のほうが、免疫力を高める力が強いことが明らかになりました。電子顕微鏡で乳酸 菌を観察すると、30℃で育てた菌(左)に比べ、37℃で育てた菌(右)の方が、分厚い細胞壁をもっていることがわかります。この培養技術を利用すれば、 乳酸菌の免疫活性化効果をより高めることができると考えられています。

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Published by 学会事務局 on 28 11月 2012

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館
  ―お酒のつくり方はさまざま(Q15,16)―

お酒は原料の違いによって、つくり方や風味が変わってきますが、これは糖分の利用方法、原料が持ついろいろな成分の作用、使用する微生物の働きによるものです。

ワインの原料はブドウをしぼった果汁で、ブドウの種類によって、白ワインや赤ワインのように色や風味の違いがでます。また、乳酸菌を用いてワイン中のリンゴ酸を乳酸に変換し、味をまろやかにする技術もあります。

ビールでは大麦のデンプンを分解してできた糖液(麦汁)にホップという植物を加えて煮ることで、特有の苦味と香りをつけるのが特徴的です。また、ホップは雑菌の繁殖を抑える作用もあります。

日本酒では麹菌(米こうじ)による糖化(デンプンを糖に変えること)と、酵母によるアルコール発酵が同時に行われるため、少しずつ出てくるブドウ糖を酵母がゆっくりアルコールに変えることができます。日本酒のアルコール濃度が高いのは、このつくり方のせいです。また、日本酒づくりでは昔、乳酸菌を使用していました。酵母による発酵が始まるまでに雑菌が増えてしまわないよう、乳酸菌のつくる乳酸で雑菌の繁殖を抑えていました。このように、お酒はいろいろな原料や微生物の特徴を活用してつくられているのです。

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館 「お酒のつくり方はさまざま」

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Published by 学会事務局 on 28 11月 2012

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館
  ―コドン表の読み方(Q8)―

たとえば「CAG」という塩基の並びがどのようなアミノ酸を意味するかについて、コドン表で解読してみましょう。一番目の塩基はCですから、表の左の「1番目の塩基」欄のCの行を右にたどっていき、表の上の「2番目の塩基」のA列と交わる部分を見つけます。そこにはCAで始まる4つのコドンが書かれています。表の右の「3番目の塩基」欄からもわかるとおり、これらのコドンは、3番目の塩基について上からUCAGの順に並んでいますので、「CAG」がグルタミンというアミノ酸を表すコドンであることがわかります。

ひらく、ひらく「バイオの世界」 イラスト・写真館 「コドン表の読み方」

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コドン表を見ると、コドンとアミノ酸は必ずしも1対1になっていないことがわかります。メチオニンやトリプトファンというアミノ酸のコドンは1種類しか ありませんが、ロイシンというアミノ酸には6つものコドンが用意されています。また翻訳を始める合図となるコドンはメチオニンのコドンと共通となってお り、翻訳を終える合図となるコドンには3種類あることもわかります。

 

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Published by 学会事務局 on 28 11月 2012

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館
  ―タンパク質のかたちの決め方(Q7)―

肉や豆腐にふくまれるタンパク質も、条件によっては「結晶」になります。このたんぱく質の結晶に、「X線」という高エネルギーの光をあてると、内部のタンパク質の形に応じてX線がさまざまに散乱します(光があちこちへ飛び散る)。この光の散乱パターンをもとに、コンピュータで複雑な計算をすることにより、タンパク質に含まれている原子それぞれの位置を決めることができ、その結果としてタンパク質全体の形を推定することができます(ただし多くの場合、水素原子の位置まではわかりません)。

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館  「タンパク質のかたちの決め方」

 

左の図は、αアミラーゼという酵素タンパク質の立体構造を示したものですが、そのサイズは直径10 nm(1 nmは1 mmの100万分の1)以下で、とても肉眼では見えませんし、顕微鏡でも見えません。上に説明したような方法で形を調べた結果なのです。上の図と下の図は、見せ方を違えているだけで、どちらも同じαアミラーゼの構造を示しています。それぞれ「リボンモデル(上図)」と「空間充填モデル(下図)」といいます。

タンパク質はアミノ酸が数珠つなぎになった紐状の分子で、その紐が折り畳まれて一定の立体的なかたちになります。リボンモデルでは、その紐がらせんを巻いている部分を赤で、伸びた紐が隣り合っている部分を黄色で示してあります。白いロープはそれらのパーツをつなぐ部分です。リボンモデルで表現するとタンパク質の構造には隙間が多いように見えますが、空間充填モデルを見ると必ずしもそうではないことがわかります(実際のタンパク質の姿は空間充填モデルに近いのです)。
 

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Published by 学会事務局 on 28 11月 2012

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館
  ―細胞から臓器を作る再生医療(Q67)―

病気やケガによって臓器に大きなダメージを負った人には「臓器移植」を行う場合がありますが、臓器移植を希望する患者さんの数に対して臓器提供者(ドナー)の数が不足しているため、移植医療の大きな問題となっています。

そこで、このような問題を解決するため、患者から採取した細胞を体外で培養し、その細胞から臓器をつくりだして移植する「再生医療(組織工学)」という技術が開発されています。近年ではiPS細胞をはじめとする幹細胞(どんな細胞にも分化できる万能細胞)を患者さん自身の細胞からつくれるようになり、幹細胞を大量に増殖させる培養装置の開発も進められています。

しかし、再生医療を実現するためには、増殖した幹細胞から目的の臓器の細胞をつくりだし、それらを立体的に集めて繋ぎ合わせ、目的とする臓器の形や機能をもたせることが必要です。臓器移植を待つ患者さんのもとに再生医療製品を届けられる日を目指して、再生医療研究者の挑戦は続いています。
 

ひらく、ひらく「バイオの世界」 イラスト・写真館

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Published by 学会事務局 on 28 11月 2012

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館 
  ―動物細胞と植物細胞(Q4)―

『ひらく、ひらく「バイオの世界」』イラスト・写真館  「動物細胞と植物細胞」

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このイラストは、動物の細胞と植物の細胞をわかりやすく描いたもの(模式図)です。実際の細胞は、ここに示すように色がついているわけではありませし(ほとんど透明です)、形ももっと複雑で多様です。ただ、大まかには、図に示すような装置(細胞内小器官)がぎっしり詰めこまれています。
細胞内小器官は、細胞が生きるための働きを担っています。細胞を外敵から守る「細胞膜」、エネルギーをつくる「ミトコンドリア」、タンパク質をつくる設計図をしまっている「核」、光合成の場となる「葉緑体」などです。

 

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Published by 学会事務局 on 29 10月 2012

《日本生物工学会創立90周年記念出版》
ひらく、ひらく「バイオの世界」―14歳からの生物工学入門

ひらく、ひらく「バイオの世界」-14歳からの生物工学入門ひらく、ひらく「バイオの世界」  14歳からの生物工学入門

B5変判・フルカラー・184頁
ISBN 978-4-7598-1538-2
2012年10月発行

私たちは、本学会の創立90周年を記念し、バイオテクノロジー(生物工学)の限りない面白さを、これから21世紀を担う若い方がたにぜひとも伝えたいという、熱い思いから本書を企画しました。
豊富なイラストと写真を含む70個のQ&Aで、最先端のバイオテクノロジーがやさしく解説されており、楽しみながらバイオテクノロジー研究について知ることができます。また、DNAや細胞、免疫システムなど生物学の基本から説明されているため、どなたでも無理なく知識を得ることができます。本書を通して、バイオエタノールやiPS細胞、遺伝子治療など、バイオテクノロジー研究の最前線をのぞいてみませんか。

日本生物工学会
生物工学教育委員会

 

 

 

 

⇒お申込みはこちら(化学同人HP)
(立ち読みサービスで書籍の内容の一部を見ることができます。)
株式会社 化学同人
〒600-8074 京都市下京区仏光寺通柳馬場西入ル東前町408番地
TEL: 075-352-3373 FAX: 075-351-8301
 

読者のバイオテクノロジーに関する理解をさらに促すため、「イラスト・写真館」では、本書に掲載されている図に対するより詳しい解説や、書籍に載せきれなかった写真を掲載しております。

⇒『ひらく、ひらく「バイオの世界」イラスト・写真館はこちら


 

概要目次

  • Part1 バイオテクノロジーの基本(DNA,細胞,タンパク質などバイオの基礎を解説)
  • Part2 身近にあるバイオテクノロジー(お酒,薬,洗剤など身近にあるバイオ製品について)
  • Part3 バイオテクノロジーの秘密(PCR,シークエンサー,遺伝子組換え技術などバイオ研究に使われている技術を紹介)
  • Part4 バイオテクノロジーが拓く世界(再生医療,微生物による環境浄化,バイオエタノールなどバイオの最先端を探検)
  • Part5 未来のバイオテクノロジー(将来はどんなバイオが実現するのだろう)/めざせ!未来のバイオ研究者(バイオ研究者からのメッセージ/バイオテクノロジー略年表/覚えておきたいバイオのキーワード60)
     

 

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Published by 学会事務局 on 28 7月 2008

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Published by 学会事務局 on 28 7月 2008

その他の出版物

《日本生物工学会創立100周年記念出版》
生命科学・生物工学のための
間違いから学ぶ実践統計解析―R・Pythonによるデータ処理事始め

『生命科学・生物工学のための間違いから学ぶ実践統計解析R・Pythonによるデータ処理事始め』本書は、日本生物工学会創立100周年記念事業の一環として、生物工学会誌のシリーズ企画 『間違いから学ぶ実践統計解析』 (2016年94巻4号~2018年96巻2号 隔月掲載)および『続・間違いから学ぶ実践統計解析』(2019年4号~2021年2号 隔月掲載)を再編、加筆して出版されました。

⇒詳しくは近代科学社のサイトをご覧ください。

 

 

 

 

 

《日本生物工学会創立100周年記念出版》
Exploring the world of Biotechnology (English Edition) 

バイオ実験を安全に行うために

本書は、学会の創立100周年を記念して翻訳・出版された『ひらく、ひらく「バイオの世界」―14歳からの生物工学入門』の英語版です。
POD(プリントオンデマンド)と電子書籍のみの発売です。Kindle版は海外のAmazonでも購入できます。

⇒詳しくは化学同人のサイトをご覧ください。

 

 

 

 

バイオ実験を安全に行うために

バイオ実験を安全に行うために日本生物工学会生物工学教育委員会では、大学・高専・企業等の研究における安全のために「バイオ実験を安全に行うために」の編集に協力しました。

本書では、バイオ実験老安全に行うためには具体的にどの ような点に注意すればよいのかについて丁寧に解説しており、バイオ実験を行う人・指導する人必携の「安全のてびき」となっています。⇒詳しくはこちら

 

 

 


《日本生物工学会創立90周年記念出版》
生物工学よもやま話-実験の基本原理から応用まで-

生物工学よもやま話-実験の基礎原理から応用まで-生物工学会誌で、大好評だったシリーズ企画「生物工学基礎講座—バイオよもやま話—」(2011年4月号~2013年3月号に掲載)が書籍になりました。

意外に知られていないバイオ実験の基本原理から、微生物の取扱いや社会で役立てられているバイオ技術に関する話題など、バイオ技術に携わるすべての方に役立つ情報を満載しております。大学の講義や演習の際の技術解説書としてご活用ください。⇒詳しくはこちら

 

 


 

《日本生物工学会創立90周年記念出版》
基礎から学ぶ生物化学工学演習

基礎から学ぶ生物化学工学演習

本書は、わが国における生物化学工学分野をリードしてきた日本生物工学会創立90周年記念事業の一環として、生物工学会に所属する生物化学工学の研究者に協力をお願いし、編集されたものです。

工学系のバイオを学ぶ大学生、生物工学、生物化学工学関連の大学院進学を目指す大学生、バイオ関連企業の 若手技術者や大学におけるバイオテクノロジー関連分野でかつ産業応用に関心のある若手研究者に向けた演習本として構成されていますので生物化学工学関連の 授業の副読本として、また、自己学習における教材としてご活用いただければ幸いです。

⇒詳しくはコロナ社のサイトをご覧下さい。

 

 

《日本生物工学会創立90周年記念出版》
ひらく、ひらく「バイオの世界」―14歳からの生物工学入門

 

ひらく、ひらく「バイオの世界」-14歳からの生物工学入門ひらく、ひらく「バイオの世界」  14歳からの生物工学入門

生物工学教育委員会では、創立90周年を記念し、バイオテクノロジー(生物工学)の限りない面白さを、これから21世紀を担う若い方がたにぜひとも伝えたいという、熱い思いから『ひらく、ひらく、「バイオの世界」』を企画しました。⇒詳しくはこちら

創立90周年記念の募金にご協力いただいた方には、本書を一冊贈呈いたしました。

読者のバイオテクノロジーに関する理解をさらに促すため、「イラスト・写真館」では、本書に掲載されている図に対するより詳しい解説や、書籍に載せきれなかった写真を掲載しております。

⇒『ひらく、ひらく「バイオの世界」イラスト・写真館はこちら

 

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